不動産が売れるまで

これまで暮らしていた住まい、親から相続した土地、老朽化し空き家になってしまったアパート、自分が所有しているものを売却するということは、人生ではそんなに多くはありませんがまったく無いことでもありません。

特に不動産を売るとなると、わからないことだらけですが意外と単純なものです。

まず時系列で不動産が売れるまでを図にすると次のようになります。

不動産売却

売却を不動産会社に依頼する

不動産の評価を専門とする資格には不動産鑑定士というものがあります。
不動産鑑定士は主に公的機関や民間企業からの依頼により、不動産の鑑定評価をしますが、売却に際しての評価額の算定なども行います。

しかし、評価鑑定業務には費用がかかりますので、不動産売却に係わる査定額の算定は不動産会社に依頼するのが一般的です。

不動産会社は売却の媒介業務を所有者から委託されることを目的として査定を行いますので、査定業務そのものは無料です。

査定はお付き合いのある不動産会社があれば、その会社一社にだけ頼んだり、複数の会社に依頼することもあります。どちらが良いのかなどは次項の「不動産査定金額は信用できるの」で詳しく述べます。

売却を依頼する不動産会社を決める

不動産会社から提出してもらった「不動産査定書」に基づいて、売却価格や媒介を依頼する不動産会社を決めます。
媒介を依頼する会社は一社だけにしてもいいですし、複数社に依頼してもかまいません。どちらが良くてどちらが良くないかといったことに関しては、後の項「媒介契約の種類~メリットとデメリット」で詳しく述べますが、媒介契約の種類としては次の3種類があります。

一、一般媒介契約
二、専任媒介契約
三、専属専任媒介契約

一般媒介契約は複数の不動産会社と媒介契約を締結しますが、他の二つの契約は一社だけとの契約です。
契約期間はどのタイプの契約でも三カ月間になっています。

不動産会社が販売活動を行う

インターネットに物件情報を掲載したり、新聞や折込チラシなどに掲載するなど、物件情報を広く多くの人に知ってもらうところから、販売活動が始まります。

不動産会社によっては、購入希望のお客さんリストを保有しているところもありますので、直接、購入希望者に物件情報を知らせることも大切なことです。

空き家の場合などはオープンハウスを開催するのも有効な方法です。

ここで大事なポイントがあります。
販売活動は媒介契約を締結した不動産会社だけがするわけではありません。

宅地建物取引業法の定めにより、「専任」「専属専任」の場合は、不動産会社のネットワークである『不動産流通機構』(通称:レインズ)に物件を登録することが義務付けされています。
一般媒介契約でもほんどの不動産会社は物件の登録をします。

レインズに登録された物件は、日本全国のすべての不動産会社が販売活動をしてよいことになっていますので、極端な言い方をしますと『日本全国の不動産会社が販売活動を行う』と言えるわけです。

購入希望者が現れ~売買価格の交渉を行う

販売活動がスタートして、早い場合は1ヵ月以内、時間がかかると数年後に「購入したい」という人が現れます。
(時には全く現れないということもありますが)

提示している金額で購入したいという場合や、提示している金額から下回った金額で購入したい(これを指値といいます)ということもあります。

提示している金額通りであれば問題ありませんが、指値された場合には、不動産会社を通して交渉が行われます。
交渉がまとまらず商談が終わってしまうこともありますが、ほとんどの場合には、どこか妥協点が見つかって売買価格が決定するものです。

売買価格が決定すると、売買契約の準備に入りますが、購入する方が銀行融資などを利用する場合には、金融機関の「事前審査」を前もって済ませておきます。
契約を締結してから『銀行融資が付きませんでした』では、お互いに時間を無駄にしてしまいますので、事前審査は必ずやっておいた方がよいでしょう。

売買価格が決定し売買契約を締結する

一般的には売買契約を締結した後、契約書で取決めた期日までに売買代金の授受と物件の引き渡しを行います。

購入する方が銀行融資を利用せず現金での取引であり、物件には抵当権やその他の所有権移転に差し障りのある権利設定がなければ、契約と引き渡しを同日に行うこともあります。

ここでは、一般的なケースとして、契約と引き渡しが別の日になる場合をお話しします。

売買契約にあたっては、宅地建物取引業法の定めに基づいて重要事項説明を契約の前に行います。

説明は「宅地建物取引士」が資格を証明する証明書を提示しながら買主さんに対して行います。

重要事項で説明する内容は

  • 媒介する不動産会社に関すること
  • 売主である所有者に関すること
  • 物件の所在や面積などに関すること
  • 登記簿に記載されていること
  • 物件に係わる法律上のこと
  • 取引条件に係わること
  • 売買契約書の案について説明

このような内容を「重要事項説明書」にまとめて、添付資料を含めて説明をします。

説明が終わり質疑応答も終わり、買主さんが重要事項について理解したら、署名・押印をしてもらいます。
売主さんも、重要事項の内容について確認したという意味で、署名・押印をします。

売買契約書については、案を読み上げて確認し特に訂正事項など無ければ、契約書にも署名・押印をします。

売買契約書に添付する書類に「付帯設備表」と「物件状況説明書」というものがあります。
この書類は、売主さんが買主さんに対して説明すべき事項が書かれています。
水廻りの住宅設備や換気・空調設備、照明器具・カーテンや畳などのインテリア、これらのものが設置されているか、使用できるかなどの説明をするのが「付帯設備表」です。
これまでに雨漏れがあったとか、付近に嫌悪施設があるとか、後々、瑕疵担保に係わるようなことに関して、正直にありのままに物件の状況を説明するのが「物件状況説明書」です。

この書類にも買主さん、売主さんが署名・押印をし、売買契約の書類が完成します。
その後、手付金を買主さんが支払い、売主さんが受領することによって契約は成立します。

引渡し準備が完了したら代金の決済と引き渡しを行う

売買契約が締結されたら、買主さんは金融機関に書類を提出して、融資が受けられる準備をします。
売主さんは引渡しの準備をしますが、現在居住している住宅を売る場合は、まず引越しの準備です。
物件に抵当権などが設定されている場合には、不動産仲介会社が抵当権抹消の準備などを進めていきます。

売主さん・買主さん、双方の準備が進み引渡しまでのスケジュールが見通せるようなったら、引き渡しの日時を決めて引渡しの最終準備を行います。

売主さんは次のものを用意します。

  • 不動産登記済権利書又は登記識別情報
  • 引き渡し日から三か月以内の印鑑証明書一通

登記上の所有者住所と現住所が異なる場合には「住民票」も準備しますが、登記簿記載の住所から現住所へ移転したことが分かるようになっていればよいのですが、住所移転が繰り返されて、途中の移転した記録が現在の住民票には記載されていないこともあります。そのような場合には、戸籍附票が必要になりますので注意して下さい。

引渡しは、買主さんから売買代金から手付金の額を差し引いた残金分を受領し、物件の所有権移転が確実に出来る書類を買主さんに渡すことによって成立します。
この時、司法書士が立会って、所有権移転などの登記に必要な書類を確認して預かり、その日のうちに法務局へ行って登記の申請を行います。

物件に設定されている抵当権の抹消もこの時同時に行います。

ここまでのまとめ

不動産が売れるまでを時系列でまとめると以上のようになりますが、一見、何ごとも無く順調に進むように思えますが、実際には様々な壁やら落とし穴やらがあって、気をつけない大変な思いをすることになるのが不動産の売却です。

次は、不動産の売却過程で起こる可能性のあるアクシデントについてお話しを進めていきます。