住まなくなった住宅や活用していない不動産を売却しようとする時、依頼する不動産会社を探すのは意外と面倒なものです。
一生の間に何度もあることでは無いので、普段から付き合いのある不動産会社などありません。
そんな時に活用したいのが不動産の一括査定サービスです。

売りたい不動産の情報を入力してボタンを押すと、住んでいる地域にある複数の不動産会社に不動産査定依頼が一括して通知され、2~3日すると不動産の査定価格が送られてきます。

その中から依頼する不動産会社を決めて売却を依頼することが、簡単に出来ます。

「ずいぶん便利になったんだな~」と思うかもしれませんが、大事なことを知っていないと、いつまでも売却できずに「こんなはずじゃなかったのに!」と後悔することもあります。

ここでは、不動産の一括査定サービスで不動産会社を決める時に注意してほしいことをまとめています。

不動産を売却する媒介契約は一般媒介契約が鉄則

最初に結論から書きます。
不動産の査定価格が各社から提出され、その中から実際に売却を依頼する会社を決めて、“不動産媒介契約”を締結して売却活動をしてもらうのですが、媒介契約には3種類あります。

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

この3種類の契約方法の中から、一般媒介契約で売却を依頼することが鉄則です。
その理由を以下に説明していきます。

不動産売却媒介業務の報酬と内容

不動産の売却を媒介する業務は不動産会社の中心的な仕事になっています。
不動産媒介=仲介という仕事は、不動産の売買・貸借の取引を円滑に行う為に、不動産の所有者と購入希望者又は賃借希望者の間に介在して、法に則り双方の利益を守れるように、公平・公正な取引が成立するように仲介する仕事です。

業務報酬は“成功報酬”であり、取引が成立・完了することによって報酬を受ける権利が生じる業務です。つまり、取引が成立するまでの活動や業務の量に関係なく、取引が成立しなければ一銭の報酬も受取れない仕事です。

売買取引に関する報酬(税別)は宅地建物取引業法に関連する国土交通省令により定められています。

  • 売買価格が200万円以下は税別売買価格の5%
  • 売買価格が400万円以下~200万円超は税別売買価格の4%+2万円
  • 売買価格が400万円超は税別売買価格の3%+6万円

例えば1,000万円の売買取引が成立すると、売主や買主は媒介した不動産会社に対し、36万円(税別)を報酬として支払います。

不動産会社は取引が成立するよう努力しなければなりません。
具体的には購入希望の見込み客を探すのが最大の活動ですが、その他次のような活動を行います。

  • 物件の内容を第三者に告知する資料の作成
  • 物件の告知を広く行う為の宣伝広告
  • 購入希望者の物件への案内
  • 購入希望者に対し物件に関する重要事項の説明
  • その他購入希望者に対するアドバイス
  • 売主に対して売却価格の変更に関する意見
  • 定期的な活動報告(専任媒介・専属専任媒介の時)
  • 指定流通機構へ物件を登録(専任媒介・専属専任媒介の時)

このような業務を3ヶ月間つづけていきます。
実は媒介契約には有効期間があって3ヶ月間になっています。
3ヶ月間が経過すると契約を継続してもいいし、別の不動産会社に依頼してもかまいません。

両手手数料を禁止しようとした政党があった

前の項目で書いたように取引が成立すると、売買代金の凡そ3%ぐらいに該当する金額が不動産会社の収入になるのですが、媒介報酬は売主・買主それぞれが支払います。

売買取引では大きく分けて、次の図のように二つのパターンがあります。

不動産媒介
媒介パターン1は売主から売却を依頼されていた媒介会社Aが販売活動をしている時に、購入希望の人から媒介を依頼された媒介会社BからAに購入希望が伝えられ、媒介会社AとBの間で売買価格の交渉などを行った末に取引が成立するケース。
不動産媒介
媒介パターン2は売主から売却を依頼されていた媒介会社Aが販売活動をしている時に、購入希望者を自ら見つけ、売買価格の交渉などを行い取引が成立するケース。

媒介パターン1は売主は媒介会社Aに仲介手数料を支払い、買主は媒介会社Bに仲介手数料を支払います。それに対し、媒介パターン2では、媒介会社Aは売主と買主の両方から仲介手数料を貰えることになります。

売主・買主の両方から仲介手数料を貰えることを両手手数料と言います。

“両手手数料”に関しては、アメリカでは売主・買主双方からのエージェント業務を禁止しているように、いろいろと問題のあるテーマです。
過去に民主党政権が「両手手数料禁止法案」を提出したことがあります。

しかし結果的には突然の解散と政権交代により廃案となりましたが、不動産業界でも問題となっているのが「両手手数料ねらい」の物件の囲い込みです。

両手手数料禁止に関しては当時のニュース記事があります。参考にして下さい。
》》》 不動産「両手取引禁止」の波紋

両手手数料を確保する為のあきれた手法

冒頭で
この3種類の契約方法の中から一般媒介契約で売却を依頼することが鉄則です。
と書きましたが、このことと“両手手数料”問題と密接な関係があります。

両手手数料の項目で掲げた図の媒介パターン1と媒介パターン2とでは、媒介会社の業務量はさほど変わりません。

業務量が変わらないのであれば、仲介手数料が倍になる媒介パターン2を媒介会社は狙います。当然ですよね収入が倍増するチャンスを捨てることはありません。

そこで、両手手数料ねらいの手法が生まれるわけです。
媒介契約は3ヶ月です。3ヶ月経っても売れない場合は、媒介契約を更新してもらえず、他の会社に媒介業務が移ってしまうかもしれません。

逆に言うと、3ヶ月間は一度媒介契約を締結すると解約されることはありません。
そこで、3ヶ月間の期間を有効に使って“両手手数料ねらい”の手法を使うのです。

具体的には、自社で購入希望者を見つけるまでは、他の不動産会社に物件案内をさせないようにするわけです。
例えば他の不動産会社から「この物件を紹介したいのですが・・・」と問合せが来ると「お話が入っているようです・・・」とか言って、物件案内をさせないようにする方法です。これを囲い込みと言っています。

これも少し古い記事ですが業界では「囲い込み」が問題となっていることが分かる記事です。

》》》 顧客を無視した大手仲介会社の現実

囲い込みをされると、1ヶ月ぐらいで売却できたはずの物件が、3ヶ月かかったり更に時間がかかる可能性もあります。

売却の依頼をする前に、依頼しようとしている会社が囲い込みをする会社かどうかなど分かりません。相手を信用して契約するしかないのですが、後で後悔することの無いよう信用できる媒介会社を見つける方法が、一般媒介契約で売却を依頼する方法です。

一般媒介契約で不動産業者の姿勢を確認

一般媒介契約は、専任媒介や専属専任媒介と違い、複数の不動産会社に媒介を依頼できます

3社とか5社とか、打ち合わせや連絡事項の対応が面倒でなければもっと多くてもかまいません。
複数の会社に売却を依頼します。その時に次の2点は必ず守って下さい。

  • 一般媒介契約を締結する会社名を、それぞれの会社に明らかにする
  • 売出価格は共通にする

一般媒介契約によって契約した不動産会社は、どこが一番先に購入希望者を見つけることができるかの競争になります。
一番乗りになる為には活動量を多くし、情報発信量も多くしなければなりません。そして自社だけの情報ネットワークだけでなく、不動産業界の様々なネットワークを使って購入希望者を見つける努力をします。

はっきり言って囲い込みなどしている余裕がありません。

競争原理を導入して売却活動を活発化させることが出来るのが一般媒介契約です。

信頼できる不動産会社に専任媒介で依頼する

依頼した複数の媒介会社の頑張りによって、3ヶ月以内に購入希望者が見つかるかもしれません。
成約させた媒介会社は結果的に両手手数料かも知れないし、片手かもしれませんが、それは売主さんにとってはどうでもいいことです。
売主さんが支払う仲介手数料は、両手であろうが片手であろうが同じです。

もしも3ヶ月以内に売れなかった時にどうするかを考えます。

売却を依頼する売主さんの立場から考えると、専任媒介・・・つまり1社に媒介を任せてしまう方が楽なのです。連絡は1社だけで済みますし、自宅を売る場合など、プライバシーに係ることもある程度媒介会社のスタッフには見せることになります。

しかしながら専任媒介だと“囲い込み”をされる可能性があります。

話を戻して、3ヶ月間で売れなかった場合ですが・・・
3ヶ月間の販売活動を通して、一般媒介契約で動いてもらった不動産会社をチェックすることができます。

  • 囲い込みをやりそうな会社かどうか
  • 真剣に熱心に取り組んでくれる会社かどうか
  • 売主の立場に立って販売活動をやってくれるかどうか

こんなことがある程度分かってきます。
依頼した複数の媒介会社の中から、最も信頼できそうな会社が分かってきます。
3ヶ月経って売れない時は、そんな信頼できそうな会社に“専任媒介”で依頼する方法が賢い方法だと思います。

不動産の売却はまず査定からです。
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